花粉症・アレルギーについて

花粉症の治療:新しい抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)について

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3月、4月は花粉症の人にとってはとてもつらい季節ですね。花粉症は季節型のアレルギー性鼻炎が病気の主体であり、目の症状や皮膚症状を伴うこともあります。原因としてスギ花粉が最も頻度が高いですが、ヒノキやシラカバなどの花粉症もあります。かつては成人の病気でしたが、最近は低年齢化が進み、小学生の花粉症も珍しくありません。

花粉症治療において最も汎用されているのが「第二世代抗ヒスタミン薬」です。抗ヒスタミン薬は作用が比較的速やかであり、くしゃみや鼻汁によく効きます。鼻閉はやや苦手とされています。第一世代は催眠作用(強い眠気を引き起こす)が強く、抗コリン作用と言って口渇・便秘などの作用が強く出る場合もあるため、一般的に、花粉症の治療には用いません。第一世代抗ヒスタミン薬は一部の風邪薬に含まれています。

患者様の重症度やライフスタイルに合わせて、抗ヒスタミン薬だけではなく、点眼薬(抗アレルギー薬やステロイド)や点鼻薬(ステロイド)を適宜組み合わせて治療することが多くなっています。

第二世代抗ヒスタミン薬はアレジオン®、エバステル®、ジルテック®、タリオン®、アレグラ®、アレロック®、クラリチン®、ザイザル®、ディレグラ®、デザレックス®、ビラノア®、ルパフィン®、アレサガテープ®、など多数あります。最近はOTC薬と言って、処方箋なしでも薬局で購入できるものも増えてきています(アレグラ®、アレジオン®、ジルテック®、エバステル®、クラリチン®など)。

第二世代抗ヒスタミン薬のうち、上記のザイザル®よりも後ろの薬剤は2010年以降の発売であり、比較的新しい抗ヒスタミン薬と言えます。注意していただきたいのは、新しいからすべて良い、という意味ではなく、それぞれの薬剤に特徴があり、効果も微妙に異なります。古いタイプのほうが使い慣れていて飲みやすい、という患者様もたくさんおりますので、積極的に新しい薬剤を推奨する、という意味ではございません。ここではこの比較的新しいタイプの抗ヒスタミン薬を紹介します。もしも今服用している抗ヒスタミン薬やOTC薬の効果があまり十分でない場合には、これら新しいタイプを選んでいただくのも選択肢に挙がると思いますので、ご相談をいただけたらと思います。

 

・ザイザル®(レボセチリジン、2010年発売)

1日1回内服。ジルテック®(セチリジン)の光学異性体であり、海外の臨床試験ではセチリジンの半量で同等の抗アレルギー効果が得られることが示されています。また、効果の持続時間が長い、という特徴もあります。血液―脳関門の通過性が低く、中枢への影響は少ないとされています。(眠気が完全にない、というわけではありませんので注意は必要です。)

 

・ディレグラ®(フェキソフェナジン・プソイドエフェドリン、 2013年発売)

 すでに発売されOTC薬になっているアレグラ®に、血管収縮作用を有するα交感神経刺激薬(塩酸プソイドエフェドリン)を配合した薬剤です。プソイドエフェドリン(pseudoと書いてあるとシュード、と読みたくなりますがプソイドです)は鼻閉に対する効果を増強する作用があり、特に鼻閉が強い患者様におすすめしやすい薬剤です。交感神経を刺激する作用があるため、糖尿病、高血圧や緑内障、前立腺肥大、甲状腺機能亢進の患者様には慎重投与になります。また腎排泄型のため腎障害のある方にも注意が必要です。1日2回内服する薬剤ですが、食事と一緒に飲むと吸収が悪く、食後ではなく、起床時、夕方の空腹時に飲むのが最適とされています。鼻づまり症状が軽くなってきた場合、ほかの抗ヒスタミン薬に切り替える場合もあります。

 

・デザレックス®(デスロラタジン、2016年発売)

 こちらもすでにOTC薬となっているクラリチン®(ロラタジン)の代謝活性物質です。クラリチンと同じく、1日1回の内服薬です。ロラタジンは肝臓で代謝されてデスロラタジンになり、効果を発現する薬剤です。デザレックス®ははじめから効果を発現しやすいかたちになっていることから、効果がすみやかに発現する、という特徴があります。

 

・ビラノア®(ビラスチン、2016年発売)

 ビラスチンは、1日1回空腹時投与の内服薬です。効果発現の速さを売りにしています。24時間持続する非鎮静性の抗ヒスタミン薬です。眠気が少ない、という特徴があるため添付文章に運転に関する注意の記述が省かれています(ビラノア®の他に、アレグラ®、ディレグラ®、クラリチン®、デザレックス®も注意喚起の文章は省かれています。眠気が起こらないという完全な保証とはなりませんので注意を忘れないでください。)ビラノアは食事の影響で吸収が低下する薬剤とされています。試験では食後複葉で半分近く吸収が下がっています。「食事の1時間以上前、もしくは2時間以上経ってから」飲むことが推奨されています。「1日1回、寝る前」と処方されることが多いと思いますが、夕食後にすぐ寝る方はこの服用方法はおすすめできません。「起床時の空腹時」ということも考えられますが、これも起きてからすぐに朝食、という方にはおすすめできませんので、寝る前も起床時もだめ、という場合には食間の内服になります。

 

・ルパフィン®(ルパタジン、2017年発売)

 ルパタジンは1日1回の内服薬です。抗ヒスタミン作用と抗PAF(platelet activating factor:血小板活性化因子)作用を併せ持つ特徴があります。PAFはヒスタミンと一緒になって、血管拡張や血管透過性の亢進、知覚神経刺激、白血球の活性化などを誘導することで、くしゃみや鼻水、鼻閉などの症状を引き起こすことがわかっています。ルパフィンは抗PAF作用という新しい作用を含むことで、強力な抗アレルギー作用を発揮するとされています。比較的眠気の副作用が多いことから運転などには注意が必要になります。

 

・アレサガテープ®(エメダスチン、2018年発売)

 これまでの内服薬と違って、経皮吸収型のテープ剤となっています。1日1回1枚ずつ張り替えて使います。皮膚から有効成分が吸収されますので、24時間、安定した効果が発揮されます。何らかの理由で内服薬が困難な人にも使用できます。1日1回タイプの薬剤だとどうしても薬剤が切れる時間帯があり、鼻炎症状に波があるような人にも試す価値があるかもしれません。当然ながら、食事の影響も受けないので、毎日同じ時刻に張り替えていれば安定した作用が期待されます。内服薬ではないタイプも試してみたい方はご相談ください。